第二回東アジア地域連携フォーラム |
韓国大会の報告 |
主 題 : エネルギー開発のための東アジア国家間の
協力方案
日 時 : 2006年4月29日(土) 09:00-19:20
場 所 : COEX国際会議室 310号
主 催 : 建国大学校法学研究所、
東アジア地域連携フォーラム、
大阪大学大学院法学研究科
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第1主題
東アジアのエネルギー開発と確保のための協力方案
座長:崔 昇煥 教授(慶熙大)
伍 福佐 氏(復旦大学国際問題研究院博士後期課程)
『東アジアのエネルギー開発とエネルギー安保協力:中国の法律と政策の視点から』
現在、東アジア諸国と同様に中国はエネルギー安保問題に
直面している。この問題の解決のために、中国はエネルギー立法や関連するエネルギー政策の実施を通じて、国内のエネルギー自給に立脚する一方、東アジアの他の国々とのエネルギー国際協力も強化している。この協力を実現するために、中国は既存の地域的国際体制を協力のプラットホームとするとともに他の国と積極的に二国間もしくは三カ国間の協力体制を構築している。同時に、東アジア地域の海洋石油ガス資源の友好的な開発を実現するために、中国は「争いを棚上げし、共同開発する」との政策を主張し、かつこれを実践に移している。これらの実践が示したように、エネルギーは中国と東アジアの他の国々との協力を促進する力にもなりうる。
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松本 和彦 教授(大阪大学大学院高等司法研究科)
『エネルギー開発と利用に関する日本の法政策』
一つの目標の追求が別の目標の追求とトレード・オフの
関係となってしまう複雑さを持ったエネルギー法政策であるが、今後のエネルギー法政策の大きな方向性を示すために、日本では2002年に「エネルギー政策基本法」が制定された。このエネルギー政策基本法の打ち出した、「安定供給の確保」「環境への適合」「市場原理の活用」という3つの基本方針に照らして、エネルギー事業関係法、電気事業法、原子力エネルギー法、新エネルギー法、省エネルギー法といった日本のエネルギー法規の分析を行った。そこから、エネルギー政策基本法の3つの基本方針自体の基礎付け、エネルギー法政策の主体についての問題点が指摘され、改善策の提言を行った。
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鄭 瑞溶 教授(明知大)
『東北アジアエネルギー協力体制構成の必要と法的争点』
東北アジアエネルギー協力体制構築の必要性と協力体制構築における問題について取り上げられた。まず東北アジア、特に中国、韓国、日本のエネルギー需要と供給においての深刻な不均衡による今後のエネルギー危機発生の可能性について、またそのような問題を事前に防止して、エネルギー問題が地域平和に対する脅威の要員として作用しないための協力体制の必要性について論じられた。続いてエネルギー協力体制構築の過程で考慮すべき事項として、ロシアの積極的な参与の誘導、民間の積極参与が可能な制度作り、原油および天然ガス、他のエネルギー源確保のためのプロジェクトの一元化およびエネルギー事業に投資奨励のための制度・措置作りの必要性を提示した。
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第2主題
東アジアのエネルギー産業の民営化・自由化のための法制度改正の方案
座長:野村 美明 教授(大阪大学大学院国際公共政策研究科)
鈴木 英敬 氏(経済産業省資源エネルギー庁課長補佐)
「日本の電気事業制度の現状及び評価」
はじめに、日本の電気事業制度の現状について説明がなされ、続いて電気事業制度の歴史とともに改革の経緯について説明された。そして、その改革による成果を「市場原理の活用」と「安定供給」、「環境適合」という3つの観点から目に見える形で示された。今後の展開として、発表者が現在取り組んでいる電気事業制度改革(平成15年10月に政府が閣議決定した、エネルギー基本計画「平成19年を目処とした一般家庭を対象とする全面的な自由化」)に際して、電力産業がどのような姿であるべきか、皆さんのお知恵を借りて考えていきたいと話された。
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孫 京漢 教授(建国大)
「韓国におけるエネルギー産業の民営化・自由化の現況と課題–電力産業を中心に-」
エネルギー産業の民営化という世界的な流れに従って、金大中政権時代に電力産業構造改変計画を樹立し、2000年12月に電力産業改編促進法を制定して民営化を強力に推進してきたが、現政権に入ってきてから電力産業民営化推進は事実上中断されている状況にある。外国と韓国のエネルギー産業の民営化の現況を検討し、韓国のエネルギー産業民営化の必要性と課題について検討した。エネルギー産業の民営化は逆らうことの出来ない世界的な流れであり、競争体制導入の成果は既に証明されており、韓国の電力産業構造改編が事実上に中断されたことは、国民経済的観点から見て不幸である。そして通信産業の民営化の成功を参考として、一日も早くエネルギー産業における競争体制の導入と民営化を行うべきである。
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王 全弟 教授(復旦大学法学院)
「中国エネルギー産業の民営化と自由化の現状と課題」
中国エネルギー産業の民営化と自由化の現状について石炭、石油天然ガス、電力及び原子力発電など4つの主なエネルギー産業に分けて紹介した。そこから、中国エネルギー産業の民営化と自由化は経済発展と密接な関連があり、中国の経済体制改革と緊密に関連していること、長年の体制改革によって、既にエネルギー産業が民営化、自由化に対してドアを開き始めているが、厳密には決して開かれていない状況であることが説明された。そして、中国エネルギー産業の民営化、自由化の発展は決して簡単ではなく、体制上、法律上の障壁は一夜にしてなくならない事実を理解しなければならない、と結論づけている。
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第3主題
原子力エネルギー開発のための東アジア国家間の協力方案
座長:多胡 圭一 名誉教授(大阪大)
理事・学長補佐(金蘭大)
橋本 道雄氏(経済産業省原子力安全保安院国際室長)
「北東アジア地域における原子力発電の現状と地域協力のあり方」
エネルギー問題や環境問題の大前提として存在している「安全」の面から、原子力発電の現状と地域協力のあり方について話された。まず北東アジアの三カ国協力関係の現状について見た後、なぜ原子力発電が選ばれているのか説明され、原子力安全規制制度について述べられた。今後の東北アジアは原子力発電所拡大の時期にあるが、拡大計画を支えていくためには官民挙げての協力体制が必要である、そのために、我々は積極的な協力関係の構築が求められ、中国韓国の参加が期待されると結論づけた。
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金 大園 教授(ソウル市立大学校)
「原子力発電所の建設の東アジア国家間の協力方案」
経済開発と生活の質の向上がもっと重要になってきた冷戦時代以後、安定的で信頼性のあるエネルギーの供給は地域的、世界的な経済発電に必然的である。このような拝啓から“安定化された”(stabilized)原子力エネルギーの供給のための原子力発電所建設に関する地域協定は東北アジア地域の飛躍と経済成長の歯車の役割をするのであろう。このような地域協定は汎地球的なIAEAと連携してより安全な核エネルギーの平和的な利用という役割を遂行しながら原子力発電所建設に対する大衆的な信頼度を高める機能を遂行するであろう。
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張 一心 氏(中国広東核電集団公社生産技術部長)
「原子力エネルギー開発における北東アジア国家協力法案の意義」
全地球的なエネルギー資源の緊張局面の出現によって世界の各国は相応するエネルギー政策を整備し、原子力発電の割合が拡大している。世界の原子力発電はまた早いスピードで発展しているが、アメリカとヨーロッパは原子力発電の復興段階に入っているし、東北アジアは原子力発電がもっとも活発に発展している地域となった。中国としては「エネルギー安保」、「持続的発電のための必然的選択」、「原子力エネルギーの平和的利用」と「核兵器の拡散への反対」という三つの面で原子力発電がもっとも重要な戦略的な意義がある。
総合討論
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