10OSIPP平和研究フォーラム

「「テロリズムに対する戦争」と「女性に対する戦争」−米政策の弱みと矛盾」

講師:本山央子(神戸大学国際協力研究科博士課程)

7月8日(金)午後6時00分〜 大阪大学大学院国際公共政策研究科棟3階マルチメディア演習室

【講師からのメッセージ】

ブッシュ政権がアフガニスタン侵攻の理由に「女性解放」を掲げたことは、多くの人々を困惑させ、怒らせた。批判者の多くは、女性の権利を掲げながら、その頭上に爆弾を降らすような言動の矛盾を指摘する。では、ブッシュ政権の「女性の権利」言説は、中東に対する植民地主義的野望を覆い隠すただのレトリックに過ぎないのだろうか。ただの口実にしては、政権は女性の権利に多大な関心を注いでいるように思われる。しかも、リプロダクティヴ・ライツを制限する「グローバル・ギャグ・ルール」に見られるように、むしろ「女性に対する戦争」こそが、ブッシュ政権において最も重要な――もしかすると「テロリズムに対する戦争」よりも――アジェンダのひとつであるようにすら見えるのだ。

「テロリズムに対する戦争」と呼ばれているプロセスを理解するためには、このもうひとつの戦争を真剣に考えてみる必要があるだろう。ここでは、ブッシュ政権の対外・国内女性政策、とりわけ政権2期目の目玉のひとつとして導入がはかられている「健康な婚姻促進イニシアティブ」に焦点をあてながら、グローバルな立憲主義の確立とシティズンシップの再編成という連続するプロセスにおいて、女性のセクシュアリティのコントロールがもつ意味を考えてみたい。