「東南アジアにおける「反テロ」戦争 −米政策の弱みと矛盾」
講師:西川由紀子 (神戸学院大学アジア太平洋研究センター)
5月27日(金)午後6時30分〜
大阪大学豊中キャンパス国際公共政策研究科棟3階 マルチメディア演習室
【講師からのメッセージ】
「9・11」以降、米国主導のもと進められてきた「反テロ」戦争は、テロと暴力に対
抗する最善の方法として「自由」を推進するための「民主主義」の拡大を掲げ、アフ
ガニスタンとイラクへの攻撃という軍事によるテロへの対抗が行われてきた。2002年
に始まった米国とフィリピン軍の合同軍事演習に象徴されるように、「反テロ」戦争
の「第二の戦線」として米国が乗り出した東南アジア地域での「反テロ」の取り組み
も、民主主義の拡大を前提に、テロに対しては軍事によって対抗する様相を呈した。
しかし、このような「反テロ」戦争は、東南アジア社会においてテロを生み出すに
至った内在的な問題を無視したものであり、そこでは、米国が掲げる民主主義の拡大
をすすめてきたにも関わらず「テロの温床」と称されるに至った東南アジア社会の現
実という矛盾が存在する。このことから、東南アジア地域に内在する問題を、イスラ
ム過激派の動態と「9・11」前後の社会における変化を通して考察し、東南アジアに
おける「反テロ」戦争の問題を指摘しつつ「反テロ」とは何かを議論してみたい。