東アジア地域連携フォーラム
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お知らせ
第一回東アジア地域連携フォーラム
 大阪大会の報告
主 題 : 東アジア経済法制の共存と調和
日 時 : 2005年2月15日(火) 10:00~17:00
場 所 : 大阪大学中之島センター7階 講義室3
主 催 : 大阪大学東アジア地域連携フォーラム
共 催 : 大阪大学大学院法学研究科
     同国際公共政策研究科( OSIPP )
     同高等司法研究科
     法科大学院形成支援プログラム
     「科学技術リテラシーを備えた先端的法曹養成
報告内容 第1部 競争秩序の形成と維持
鄭浩烈(Ho Yul Chung, 成均館大学校 法科大学 教授)
「韓国独占禁止法の特徴とその適用の実際」

1980年以後汎世界的に市場経済主義が得勢しながら急激に膨脹した韓国経済の 運用基調は政府主導型から民間主導型に自然に変わるようになった。1980年に制定された“独占規制及び公正取引に関する法律”は韓国で初めて 制定された独占禁止法であるが、法技術的に相当な完成度をなしていた。韓国の独禁法は主要国の競争法とは相当異なる面貌を見せている。実体法的 側面においては財閥規制制度を置いている点、そして独占に対し、原因行為禁止と弊害規制を折衷してあり、市場支配的地位濫用行為と不公正取引行為を竝行的に規定している点等を挙げることができる。


第2部 知的財産権の保護と競争秩序の維持

孫京漢弁護士(Kyoung-Han, Sohn、法務法人アラム 代表弁護士)
「韓国においての独占禁止法と知的財産権間の関係」

韓国の独禁法第59条(“無体財産権の行使行為” という表題下に“この法の規定は著作権法、特許法、実用新案法、意匠法、または商標法による権利の行使だと認められる行為に対しては適用しない)の解釈と適用の再検討を試みると同時に、最近のIT技術の発展による技術標準の制定と知的財産権との関係におき独占禁止法的考慮をしてみ、最後に、全地球的競争(Global Competition)体制の下で盛んになっている特許プール(Patent Pool)に関する独占禁止法的検討をした。


第3部 共存と調和
崔承煥(Seung-Hwan, Choi)(慶熙大學校 法科大学 副教授)
「FTAを通じた韓日間経済法制の調和方案」

経済・規制法規の‘調和’(harmonization)は、‘韓-日 FTA(自由貿易協定)’締結時、一番優先的に考慮すべき協商議題の中の一つである。論文では、原産地規程、反ダンピング規則、補助金及び相殺関税規則、衛生 及び検疫規則、技術貿易障壁、競争規則/政策、知的財産権などの総7種の分野を対象に‘韓-日FTA’の締結による韓日両国の経済・通商規制法規の調和方案を提示している。韓日両国の経済・通商規制法規は、‘韓-日FTA’の締結による貿易利益を上げるために、WTO協定と NAFTA などを参考にして、具体的な調和方案に対する共同研究が学術的、実務的に進行すべきだと思われる。




ディスカッション
武田 邦宣(Takeda Kuninobu) (大阪大学高等司法研究科助教授) 
コメント
 「共存」と「調和」のためには、それぞれの思想・制度の差異を知ることが必要である。競争秩序、市場原理、独占禁止法は、それが適用される国・地域の経済状況の他、政治・社会の思想や状況にも大きく依存する。
 独占禁止法の面からみると、我々は、政治・社会・文化の違いから内在的に生ずる競争秩序、市場原理の対象領域、独占禁止法の差異については、それを互いに認識し尊重しなければならない。これが「共存」である。また、ときに域外適用は国家間の外交問題にもなる。そのような摩擦を回避するためには、①域外適用について、二国間協定等を通じた「執行」における協力体制を確立するとともに、そもそも②それぞれの国が輸出カルテルを禁止する「実体法」における調和を目指す* ことが可能ではなかろうか。これは実体における「調和」であると独占禁止法の側面からの共存と調和に関してコメントした