萌芽研究公開講義 「電子債権法の立法動向」

★日時★   2005年9月14日(水) 

            15:00〜16:30 講演会
            16:40〜17:30 研究会

★場所★   国際公共政策研究科・会議室(OSIPP棟6階)

★講師★   佐藤 良治氏(日立キャピタル株式会社 業務役員 社長室長)



【講義概要

 電子債権法に関しては、20044月に産業構造審議会産業金融部会「金融システム化に関する検討小委員会」が電子債権に関する提言を行って以来、活発に議論が行われてきた。

 その後、本年5月に経済産業省は、「電子債権構想−IT社会における経済・金融インフラの構築を目指して−」と題する電子債権を活用したビジネスモデル検討WG報告書を公表した。

一方、金融庁も金融審議会・金融分科会・情報技術と金融制度に関するWGの検討結果を本年7月に座長メモという形で公表した。

以上のような動きを受けて、法務省では5月に「電子債権に関する研究会」を設置し、年内をめどに電子債権に関する法的な論点を整理する計画である。

私は、経済産業省における電子債権の検討に関与し、また、法務省の研究会にも参画する機会をいただいた。電子債権の法的論点は、非常に多岐に渡り私の能力でそのすべてを俯瞰できるものではなく、法務省の研究会においても年内にすべての検討し尽くせるかも疑問である。

 このように電子債権はその射程が広範であり、論点が多岐に渡るが故に議論が拡散する傾向がみられるようになってきた。ここで原点に立ち返って社会制度として電子債権に求められている機能とは何かを考えてみたい。

 今回いただいた機会に1.現在までの電子債権の検討の経緯を概観し、2.電子債権制度の目指す方向、3.電子債権の機能からみた主要な法律的な論点に関して私見を述べてみたい。特に2及び3に関しては出席者からのご示唆をいただければ幸いである。

【参考資料】


・産業構造審議会産業金融部会 金融システム化に関する検討小委員会報告書 「電子債権について」

http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0005188/0/040428kinyu.pdf

・電子債権を活用したビジネスモデル検討WG報告書「電子債権構想−IT社会における経済・金融インフラの構築を目指して−」

http://www.meti.go.jp/press/20050413002/050413saiken.pdf

・金融審議会・金融分科会・情報技術と金融制度に関するWG 座長メモ

http://www.fsa.go.jp/news/newsj/17/sonota/f-20050706-1/01.pdf

・特集「企業金融の活性化と電子債権」ジュリスト1276 2004.10.1

・「電子債権の期待と課題」NBL 812 2005.7.1

・包括的・横断的市場法制のグランドデザイン「日本版金融サービス市場法」制定に向けての提言2 各論編 補章1.1 佐藤良治・村上雅春 実務の流れからみた電子債権発展の方向性 −「柔らかい電子債権制度」構築のために 総合研究開発機構2005.6

【講師略歴】


佐藤 良治 (さとう りょうじ)

(職歴)
2001年6月 日立キャピタル証券株式会社(旧日立クレジット証券株式会社)取締役社長
2005年9月 日立キャピタル株式会社 業務役員 社長室長就任
(公歴等)
2003年7月 産業構造審議会産業金融部会「金融システム化研究会」委員
2005年5月 法務省「電子債権研究会」委員
(論文等)
「CPのペーパーレス化」ジュリスト1215号(2002.1.1-15)有斐閣