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Q&A
 
 
  (2006年11月22日更新)
判例
  1. Supreme Court March 12, 2003 Judgment (Keishu, Volume 57, Number 3, Page 322.)(English)

  2. Supreme Court Judgment, January 17, 2002; (Minshu, Volume 56, No.1, Page 20.)(English)

  3. Supreme Court 2nd Petty Bench Judgment February 21, 2003 (Minshu, Volume 57, No.2, Page 95.)(English)




国際金融法班・翻訳予定判例
取引法 会計規制 銀行規制 証券規制
国内/国際 事件判例
<国内事件判例>
     
一括弁済支払
システム判決
最判平成15年12月19日
(民集57巻11号2292頁)
興銀事件
最判平成16年12月24日
(裁判所時報1378号12頁)
ATM払に免責条項を
認めなかった判例
大阪高裁
平成13年3月23日
(判タ1070号267頁)
協同飼料事件
最判平成6年7月20日
(刑集48巻5号201頁)
サブリース判例
最判平成15年10月21日
(民集57巻9号1213頁)
 
預金者確定の3判例 (1)
最判平成15年6月12日
(民集57巻6号563頁)
日本商事株
インサイダー取引事件
最判平成11年2月16日
(刑集53巻2号1頁)
集合債権の
譲渡担保予約
最判平成 12年4月21日
(民集54巻4号1562頁)
 
預金者確定の3判例 (2)
最判平成15年4月8日
(民集57巻4号337頁)
弁護士インサイダー事件
最判平成11年6月10日
(刑集53巻5号415頁)
将来債権譲渡
契約の有効性
最判平成11年1月29日
(民集53巻1号151頁)
 
預金者確定の3判例 (3)
最判平成15年2月21日
(民集57巻2号95頁)
目論見書を渡すのが
遅れた事例
東高判平成12年10月26日
(判時1734号18頁、
判タ1044号291頁、
金商判1106号37頁)
空リースと保証 (1)
仙台地判
平成8年2月28日
(判時1614号118頁、
判タ954号169頁)
 
預金者確定判例
最判平成14年1月17日
(民集56巻1号20頁)
 
空リースと保証 (2)
仙台高判
平成4年4月21日
(判タ811号140頁)
 
貸金業者の取引履歴
開示義務
最判平成17年7月19日
 
ファイナンス・リース判例
最判平成7年4月14日
(民集49巻4号1063頁)
 
貸金業法の書面義務に
関する判例 (1)
最判平成16年2月20日
(民集58巻2号380頁)
 
債権譲渡と抗弁の切断
最判昭和50年12月8日
(民集29巻11号1864頁)
 
貸金業法の書面義務に
関する判例 (2)
最判11年1月21日
(民集53巻1号98頁)
 
   
誤振り込み事件
最判平成8年4月26日
(民集50巻5号1267頁)
 
   
誤振り込み事件(2)
最判平成15年3月12日
(刑集57巻3号322頁)
 
   
カード関連最高裁事件
最判平成5年7月19日
(裁判所時報1103号1頁、
判時1489号111頁、
判タ842号117頁、
金法1369号6頁、
金商判944号33頁)
 
取引法 会計規制 銀行規制 証券規制
国内/国際 事件判例
<国際事件判例>
     
間接保有証券の移転
(JAIL44号に翻訳有り)
仙台高判
平成12年10月4日
(金判1106号47頁)
     
債権質の準拠法
(モデル翻訳有り)
最判昭和53年4月20日
(民集32巻第3号616頁 )
     
弁済の通貨
(JAIL20号に翻訳有り)
最判昭和50年7月15日
(民集29巻6号1029頁、
判時782号19頁、
判タ328号235頁)
     
保険代位
東高判昭和44年2月24日
(高民集22巻1号80頁、
判時559号75頁、
判タ235号138頁)
     
債権譲渡
東地判昭和42年7月11日
(金法485号33頁、
判タ210号206頁)
     
債権者代位
東地判昭和37年7月20日
(下民集13巻7号1482頁)
     

■取引法
<国内事件判例>
一括弁済支払システム判決
最判平成15年12月19日(民集57巻11号2292頁)
取引先といわゆる一括支払システムに関する契約を締結し、同契約の特約として、担保のために譲渡された売掛金債権について国税徴収法24条に基づく告知が発せられたときは、これを担保とした当座貸越債権は弁済期が到来するものとし、譲渡された売掛金債権を代物弁済に当てる旨の合意をした上告人が、被上告人から第二次納税義務者として同条2項の告知を受けたため、同告知の取消しを求めた事案で、当該合意は、同条2項の告知後に被譲渡担保債権が弁済以外の方法により消滅した場合には、なお、譲渡担保財産として存続するものとみなす同条5項の適用を回避するであるから、同項の趣旨に反し無効であり、本件告知は違法とはいえないとした事例(補足意見あり)。
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サブリース判例
最判平成15年10月21日(民集57巻9号1213頁)
第1審被告Y(賃借人)との間で本件賃料自動増額特約のある本件契約(サブリース契約)を締結した第1審原告X(賃貸人)が、本件特約により賃料が増額したとして未払賃料の支払等を求める本訴を提起したのに対し、Yが借地借家法32条1項に基づく賃料減額の確認を求める反訴を提起した事案の上告審において、建物の賃貸借契約であることが明らかである本件契約には借地借家法が適用され、Yは、同法32条1項の規定により、賃料の減額を求めることができるなどとして、本件契約への同項の規定の適用を極めて制限的に解してXの主位的請求の一部を認容し、Yの反訴請求を棄却した原判決を破棄し、本件を差し戻した事例(補足意見あり)。
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集合債権の譲渡担保予約
最判平成 12年4月21日(民集54巻4号1562頁)
被上告人が、Aとの間で締結した債権譲渡予約を完結してAの上告人に対する債権を譲り受けたとして、上告人に対し、本件債権の履行を求めた訴訟の上告審で、債権譲渡の予約にあっては、予約完結時において譲渡の目的となるべき債権を譲渡人が有する他の債権から識別することができる程度に特定されていれば足り、本件予約が、Aの経営を過度に拘束し、あるいは他の債権者を不当に害するなどとはいえず、本件予約は公序良俗に反するものではないとして、上告を棄却した事例。
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将来債権譲渡契約の有効性
最判平成11年1月29日(民集53巻1号151頁)
将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約にあっては、契約当事者は、譲渡の目的とされる債権の発生の基礎を成す事情をしんしゃくし、右事情の下における債権発生の可能性の程度を考慮した上、右債権が見込みどおり発生しなかった場合に譲受人に生ずる不利益については譲渡人の契約上の責任の追及により清算することとして、契約を締結するものと見るべきであるから、右契約の締結時において右債権発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然に左右するものではないと解するのが相当であるとした事例。
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空リースと保証 (1)
仙台地判平成8年2月28日 (判時1614号118頁、 判タ954号169頁)
連帯保証契約は、特定の債務を連帯保証する債務の成立を目的とする契約であるから、主たる債務がいかなる契約から生じるかは連帯保証契約の当然の前提をなし、連帯保証契約の内容となっているものであって、主たる債務がいかなる契約から生じたかという債務の発生原因を、主たる債務者がその契約によって得た金融をどのように利用するか、他に連帯保証人がいるか、あるいは物的担保があるか否か、といった当然には連帯保証契約の内容とはなりえない、いわゆる動機の錯誤に当たる事情とは、同一視することはできない。
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空リースと保証 (2)
仙台高判 平成4年4月21日(判タ811号140頁)
サプライヤーAがオフィスコンピューター及びコンピューターソフトウェア一式を納品したものの顧客管理用ディスクを納品せずかつ一般的操作方法の指導もしないという債務不履行によってユーザーYにあってリース物件であるコンピューターを使用することができずにいるうちにAが倒産してしまったという場合において、Aの右債務不履行には、Aとの間に緊密な提携関係のあったリース会社Xが多大な関与をしているのであるから、XのYに対するリース料の請求は、信義誠実の原則に違反する権利行使として許されないものといわなければならない。
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ファイナンス・リース判例
最判平成7年4月14日(民集49巻4号1063頁)
リース業者である上告人が更生会社の管財人である被上告人に対し、未払のリース料と遅延損害金の支払を請求し、また、本件リース契約の解除の意思表示により約定の損害金と遅延損害金の支払等を請求した事案の上告審で、いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約において、リース物件の引渡しを受けたユーザーにつき会社更生法手続の開始決定があったときは、未払のリース料債権はその全額が更生債権となり、リース業者はこれを更生手続によらないで請求することはできないと解し、上告を棄却した事例。
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債権譲渡と抗弁の切断
最判昭和50年12月8日 (民集29巻11号1864頁)
債権が譲渡され、その債務者が、譲渡通知を受けたにとどまり、かつ、右通知を受ける前に譲渡人に対して反対債権を取得していた場合において、譲受人が譲渡人である会社の取締役である等の事実関係があるときには、右被譲渡債権および反対債権の弁済期の前後を問わず、両者の弁済期が到来すれば、被譲渡債権の債務者は、譲受人に対し、右反対債権を自働債権として、被譲渡債権と相殺することができる。
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<国際事件判例>
間接保有証券の移転(JAIL44号に翻訳有り)
仙台高判 平成12年10月4日(金判1106号47頁)
有価証券の国際的保管振替機関を利用した外貨建ワラント取引において、証券会社が顧客に対して預り証又は月次報告書を交付したとき、当該顧客に対しワラントを譲渡したものとされ、証券会社が発行した新株引受権証券(大券)の共有持分につき占有改定により間接・共同占有が移転したものとして有効であるとされた事例。
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債権質の準拠法 (モデル翻訳有り)
最判昭和53年4月20日 (民集32巻第3号616頁 )
日本在住の中国人がタイ銀行の東京支店に預け入れた定期預金の証書を、元利金受領欄に日付空白のまま署名して同銀行香港支店に交付してなした債権質設定契約の成立および効力について、権利質はその客体たる権利の準拠法によるべきものとして、右定期預金債権の準拠法たる日本法を適用した事例。
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弁済の通貨(JAIL20号に翻訳有り)
最判昭和50年7月15日 (民集29巻6号1029頁、判時782号19頁、判タ328号235頁)
一 外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権については、債権者は債務に対して外国の通貨または日本の通貨のいずれによっても、これを請求することができる。
二 外国の通貨をもつて債権額が指定された金銭債権について日本の通貨により裁判上の請求がされた場合、日本の通貨による債権額は、事実審の最終口頭弁論期日の外国為替相場によって外国の通貨を日本の通貨に換算した額である。
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保険代位
東高判昭和44年2月24日 (高民集22巻1号80頁、判時559号75頁、判タ235号138頁)
日本法を準拠法とする海上運送契約に基づき日本会社によりイタリアからリベリアまで運送された貨物につき荷受人の被った損害を填補した外国保険会社は、荷受人との間にスイスで締結した海上保険契約において保険者の代位に関しスイス法を準拠法とする旨約定されていた場合、スイス法により右日本会社に対する荷受人の損害賠償債権を取得する。
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債権譲渡
東地判昭和42年7月11日 (金法485号33頁、判タ210号206頁)
一 韓国人が韓国銀行日本支店との間で締結した無記名定期預金契約上の債権を日本人に譲渡した場合、債権譲渡の成立および効力は、債権譲渡は準物権行為とみなされるので、原因債権とは区別し、譲渡債権の準拠法たる日本法によるべきものである。
二 債権譲渡の方式は、法例8条による。三 債権譲渡の第三者に対する効力は、法例12条によるが、債務者が外国銀行であり日本に支店を設けているときは、支店所在地たる日本が住所地となる。
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債権者代位
東地判昭和37年7月20日 (下民集13巻7号1482頁)
日本においてアメリカ人が自動車事故により日本人を死亡せしめた場合、被害者の遺族は加害者のアメリカ保険会社に対し、法廷地法たる日本法により、保険金請求権を代位行使することができる。
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■会計規制
興銀事件
最判平成16年12月24日(裁判所時報1378号12頁)
住宅金融専門会社の設立母体である銀行が、同社の経営が破綻したため放棄した同社に対する貸付債権につき、その全額が、当時回収不能であることは明らかとなっており、本件債権相当額は本件事業年度の損失の額として損金の額に算入されるべきであるとし、原判決を破棄し、上告人の請求を認容した第1審判決は正当であるから、被上告人の控訴を棄却した事例。
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■銀行規制
ATM払に免責条項を認めなかった判例
大阪高裁 平成13年3月23日(判タ1070号267頁)
盗犯等の不当払出しの場合の銀行の免責条項のあるカードローン契約につき、カード契約者にカードの管理又は暗証番号の設定・管理に善管注意義務違反がある場合には、カード契約者はカード盗用により銀行の受けた損害を負担すべき義務があるとした事例。
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預金者確定の3判例 (1)
最判平成15年6月12日(民集57巻6号563頁)
債務整理事務を受任した弁護士が事務処理費用に充てるために交付された金銭を預け入れた銀行預金が、委任者ではなく弁護士に帰属するとされた事例。
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預金者確定の3判例 (2)
最判平成15年4月8日 (民集57巻4号337頁)
上告人が本件通帳を盗まれ、何者かが本件通帳を使用し、現金を引き出したため、上告人が被上告人の銀行に対して本件払戻に係る預金の返還又は債務不履行に基づく損害賠償を求めたところ、請求が棄却されたため、上告人が上告した事案で、被上告人銀行は、通帳機械払のシステムを採用していたにもかかわらず、その旨をカード規定等に規定せず、預金者に対する明示を怠り、通帳機械払のシステムについて無権限者による払戻を排除し得るよう注意義務を尽くしていたということはできず、本件払戻について過失があったというべきであるとし、原判決を破棄し、第1審判決を取り消し、上告人の請求を認容した事例。
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預金者確定の3判例 (3)
最判平成15年2月21日 (民集57巻2号95頁)
損害保険代理店が保険契約者から収受した保険料のみを入金する目的で開設した普通預金口座の預金債権が損害保険会社にではなく損害保険代理店に帰属するとされた事例(反対意見がある)。
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預金者確定判例
最判平成14年1月17日 (民集56巻1号20頁)
公共工事の請負者が保証事業会社の保証の下に地方公共団体から支払を受けた前払金は、
請負工事の必要経費の支払に充てることを目的とした信託財産であり、信託財産である前払金の
残金は、請負者に代わって保証債務の履行として残金相当額を地方公共団体に支払った
保証事業会社に帰属し、請負者の破産財団に組み入れられることはないとされた事例。
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貸金業者の取引履歴開示義務
最判平成17年7月19日
貸金業者は特段の事情のない限り金銭消費貸借契約の付随義務としての取引履歴開示義務を負う。この義務に反する被上告人の開示拒絶行為は違法性を有し、これにより上告人が被った精神的
損害は、過払金返還請求が認容されることでてん補されるものではなく、不法行為による損害賠償が認容されるべきであるとした事例。
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貸金業法の書面義務に関する判例 (1)
最判平成16年2月20日(民集58巻2号380頁)
貸金業法3条所定の登録を受けた被上告人とAとの間の金銭消費貸借契約等継続取引に関する基本取引約定につき、Aの被上告人に対する債務について連帯保証をした上告人が、被上告人に対し、本件各貸付につき支払われた利息等のうち利息の制限額を超える部分を元本に充当すると過払金が生じているとして、その返還を求めた事案の上告審において、本件各請求書のように、その返済期日の弁済があった場合の同法18条1項所定の事項が記載されている書面で貸金業者の銀行口座への振込用紙と一体となったものが返済期日前に債務者に交付され、債務者がこの書面を利用して払込の方法によって利息の支払をしたとしても、同法18条1項所定の要件を具備した書面の交付があって同法43条1項の規定の適用要件を満たすものということはできないとされた事例。
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貸金業法の書面義務に関する判例 (2)
最判11年1月21日(民集53巻1号98頁)
貸金業者との間の金銭消費貸借上の利息の契約に基づき、債務者が利息として任意に支払った金銭の額が、利息制限法1条1項に定める制限額を超える場合において、右超過部分の支払が貸金業の規制等に関する法律43条1項によって有効な利息の債務の弁済とみなされるためには、右の支払が貸金業者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってされたときであっても、特段の事情のない限り、貸金業者は、右の払込みを受けたことを確認した都度、直ちに、同法18条1項に規定する書面を債務者に交付しなければならないと解するのが相当であるとした事例。
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誤振り込み事件
最判平成8年4月26日(民集50巻5号1267頁)
振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しないにかかわらず、振込みによって受取人が振込金額相当の預金債権を取得したときは、振込依頼人は、受取人に対し、右同額の不当利得返還請求権を有することがあるにとどまり、右預金債権の譲渡を妨げる権利を取得するわけではないから、受取人の債権者がした右預金債権に対する強制執行の不許を求めることはできないとされた事例。
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誤振り込み事件(2)
最判平成15年3月12日(刑集57巻3号322頁)
自己の預金口座に誤った振込みがあったことを知りながら、その情を秘して預金の払戻しを請求し
払い戻しを受けた場合には、詐欺罪が成立するとした事例。
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カード関連最高裁事件
最判平成5年7月19日 (裁判所時報1103号1頁、判時1489号111頁、判タ842号117頁、
金法1369号6頁、金商判944号33頁)
預金者以外の者が真正なキャッシュカードを使用して正しい暗証番号を入力し現金自動支払機から預金の払戻しを受けた場合と免責約款による銀行の免責。
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■証券規制
協同飼料事件
最判平成6年7月20日(刑集48巻5号201頁)
東証1部上場企業である被告会社の役員らである被告人A・Bが、大手証券会社の幹部である原審相被告人CないしGと相謀り、株価を人為的に高騰・維持させる目的で、被告会社の資金で自社株を買い付ける等の方法により、相場操縦をしたという事案の上告審において、証券取引法125条2項1号後段及び同条3項の各規定の構成要件が不明確であるとはいえないから、右各規定は憲法31条に違反するものではなく、また、同条2項1号後段の変動操作の罪及び同条3項の安定操作の罪は、いずれも刑法65条1項にいう身分によって構成すべき犯罪ではないというべきであるとされた事例。
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日本商事株インサイダー取引事件
最判平成11年2月16日(刑集53巻2号1頁)
上場企業であるAが開発して発売した薬品の副作用症例の発生は、証券取引法166条2項2号イの損害の発生として包摂・評価される面とは異なる別の重要な面を有している事実であるということができ、他方、同項1号から3号までの各規定が掲げるその他の業務等に関する重要事実のいずれにも該当しないのであるから、結局これについて同項4号の該当性を問題にすることができるといわなければならないとして、原判決を破棄し、本件を原裁判所に差し戻した事例。
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弁護士インサイダー事件
最判平成11年6月10日(刑集53巻5号415頁)
証券取引法166条2項1号にいう「株式の発行」を行うことについての「決定」をしたというためには、「業務執行を決定する機関」において株式の発行の実現を意図して行ったことを要するが、当該株式の発行が確実に実行されるとの予測が成り立つことは要しないと解するのが相当であり、本件企業合弁・買収の対象である会社の最高任者のAは、同社の方針として第三者割当増資を行う旨の決定をし、これを甲社のB常務に言明することによって外部的に明らかにしたものであるから、その当時、乙社の保有株式の譲渡方法に関する問題が最終決着をみていなかったとしても、株式の発行を行うことについて決定したというに妨げなく、Aの決定は、同号にいう「決定」に該当すると認めるのが相当であるとされた事例。
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目論見書を渡すのが遅れた事例
東高判平成12年10月26日(判時1734号18頁、判タ1044号291頁、金商判1106号37頁)
外国投資銀行の円貨社債を購入した際に目論見書の交付が購入時期までにされなかったこととその後当該銀行が倒産したことによる損害との間に相当因果関係がないとされた事例。
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